|
|
|
地球が誕生したのは今から46億年前とのこと。無数の小惑星が衝突を繰り返し地球が形成されていったといわれています。地球誕生の壮絶なドラマの中、想像を絶する高圧と高温がこの地球上で最も素晴らしい鉱物であるダイアモンドを誕生させるエネルギーとなりました。ダイアモンドこそ地球誕生の「秘密」を我々に教えてくれるメッセンジャーなのかもしれません。
わずか直系数ミリのダイアモンドが、地下200kmもの深い所で誕生し、何ものにもおかされることが無く何億年もの長い旅を続け、生まれたままの姿で人間にめぐり逢うことができたのも、比類ない硬さを身につけていたからに他ならないのです。人間がダイアモンドに初めて出会ったのは、今からおおよそ3千年前のことといわれています。
南インドのドラヴィダ族は、川底に沈む不思議な石を見つけました。そして、石の美しさと言うよりも、その硬さに驚きました。ドラヴィダ族は、この硬さを利用して岩を削り、石を削って壮麗な宮殿や寺院といった数多くの文化遺産を残しました。発見から2千年もの長い間、インドは世界唯一のダイアモンド産出国でした。
その比類ない硬さから「征服されざるもの」(ギリシャ語で「アダマス」)とまでいわれたものへの挑戦でしょうか、人間の執念でしょうか、15世紀になって人は、初めてダイアモンドの研磨に成功しました。ベルギーのラドウィックヴァンベルムというダイアモンド職人が「ダイアモンドはダイアモンドでカットすることができる」ことを発見したのでした。今でこそ理にかなったいわば当たり前のことですが、2千5百年もの間、何も手を施すことが出来なかったわけですから大発見であったといえましょう。宝石の美しさについて書かれた文献によると、カットが不可能だった時代の原石のままのダイアモンドは、宝石の中で17位に位置付けされていたそうです。
しかし、この大発見により一躍宝石としての位置がNO.1となり、宝石の王様へとのし上がりました。なぜなら、カットしたダイアモンドからは、他の宝石には見ることのできない美しい輝きやきらめきが現れたからです。ちなみに「ダイアモンド・カット・ダイアモンド」ということわざがあります。智者同士、強者同士の冷静で凄まじい戦いを意味し、削るものと削られるものが同じ硬さであることがいかに困難な作業なのかを表現しています。
|
|
|
|
|